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射撃戦隊ガンレンジャー(2)

作者:XXXR氏
備考1:戦隊もの
備考2:

都市化に失敗して生まれた、人通りもない郊外の廃ビル。静かなその場所へ音もなく進入する三つの影。
ガタンガタンッ!
「ばか、静かにしろ」
「すみません!!」
「Oh、今のコエの方がずっとウルサイね」
……訂正しよう。「ほぼ」音もなく進入する影。正義の味方、射撃戦隊ガンレンジャーの一員、マグナムレッドこと長篠信長、ガトリングブルーことビリー・ウェスト、そして我らがリボルバーブラック、種子島大介の三人。通称「男組」である。

一時間前、基地のレーダーが不審な反応を確認した。反応はすぐに消えたものの、その後も断続的にその近隣からの反応が繰り返されたために、偵察を送ることになった。
本来はスナイプホワイトこと濃姫千里が偵察を担当しているのだが、突然リーダーである信長が
「たまには他の奴も経験しといた方が良い」
などと言い出したために、この三人で赴く事になってしまった。
(キャノングリーンこと大筒華美も連れてくる予定だったが、ビルを破壊されてはたまらないので留守を任せる事にした。)

「ほんとにいるんですかね。あのセンサー、けっこう当てにならないし」
「それをカクニンするためにキタんでしょ」
「しゃべってないでよく見ろ」
「「はーい」」
大介がぼやけばビリーが相づちを打ち、信長が突っ込む。締まらないメンツである。
三人は首を動かし、部屋の中を見回す。右へ、左へ、そしてまた元の場所へ戻った時。
そこには妖しげな装置が置かれていた。
「な、何だこれ?」
それは円柱形をしており、数カ所に搭載されたモニターの中では、様々なメーターが上がったり下がったりしている。と、機械のスピーカーから甲高い音が聞こえ始めた。
「がっ……」
「み、耳が……」
「……Ouch……」
三人はその音を聞いたとたん、耳を押さえて苦しみ始め……

「それで、逃げられた、と」
「「「ごめんなさい」」」
大介達が気が付いた時には、謎の装置は影も形も無くなっていた。偵察の任は果たしたとはいえ、接触した相手を逃したのは大失態だ。
「はいはい、ちゅうも~く」
基地の司令室。ぱんぱんと手を叩いたのは、油だらけの作業着を着た女性。メカの整備や敵の分析を一手に引き受ける、羽柴佐里奈女史だ。

「今回の敵……って言うのも変だけど、この機械。どうやら音波で催眠術みたいなものを仕掛けてくるみたいね」
「催眠術ですか? あの時の変な音を使って、俺たちに幻覚を?」
信長はあの音を聞いた後の自分の体験を思い出しながら、羽柴に質問する。
「ん~、ちょっと違うかな。正確には、姿を見せる前からもう仕掛けられてるのよ」
羽柴は司令室のモニターに、今回の出動における唯一の収穫、謎の機械の画像を映し出す。さらにボタンをいくつか動かすと、映像は機械の内部を透視した物に入れ替わった。
「多分この機械は、姿を消している間にも可聴音域外の音波を使って、周囲の人間の脳にゆっくり刷り込みをかけているのよ。
そして深層意識に下地が整ったら、今度は姿を見せて注目を集め、可聴音波で表層意識からアプローチする。
そうやって相手を安定した催眠状態へ落としてしまうのよ。よくできてるわ~」
解説をする羽柴は、いつもながら楽しそうだ。
「そこまでわかってたら、何か対策はできないんですか?」
という大介の問いには
「ムリですよ」
とビリーが答えた。
「ワタシたちのradarでは、姿を消したこの機械をタンチできないのは、カクニン済みね。向こうにはいつもツカってる瞬間移動装置もアルはずですし、見つけ出すコトは不可能ですね」
「じゃあ、こいつの出してる音が聞こえ無いようにスーツを改造したら?」
「それも無理」
今度は羽柴が答える。
「いくら可聴音域外とはいえ、人間の耳に聞こえる音を制限するのは、戦闘において危険過ぎるわ。私としては、そんな改造は許可できないわね」
そして
「とりあえずこれに対抗するために、技術班が協力できそうな事はないわ」
という台詞で締めくくり、司令室を後にした。
回避不能の催眠攻撃を仕掛けてくる相手に、技術的な支援なしでどう立ち向かうのか。難しい命題に、五人の心は重く沈んだ。


ビシッ! バシッ! ガンッ! バキッ! ドスッ! ボンッ! カーーーンッ!
「よし! 今日はここまでにしておこう」
「あ……ありがとうございまし……た」
翌日。大鷲大学の剣道場では、丁度大介の特訓が終わった所である。
燕は汗を拭き、スポーツドリンクを飲むと、そのままタオルとペットボトルを大介へと渡してくる。大介は一瞬微妙な顔をしたものの、汗の不快感と喉の渇きには勝てず、使わせてもらう事にした。

「困りごとでもありそうな顔をしているな」
突然、燕が話しかけてくる。
「話してみろ。役に立てるかもしれないぞ」
その言葉に大介は少し考え、とりあえず要点をぼかして話してみる事にする。
「例えば、燕さんが……そう、催眠術師と戦うような事になったとするじゃないですか」
「ほう、面白そうな相手だな。それで、相手は具体的にどういう戦法を取ってくるんだ?」
「まあ、幻覚ですね。出会った瞬間に、こっちの欲望を具現化した幻を見せてきます」
「それは良いな。剣豪百人との仮想対戦なんてこともできそうだ。ぜひその催眠術師とやらに会ってみたくなったぞ」
「いや、それがですね、いきなりぱっと現れて、幻を見せて、正気に戻る頃にはもういないんですよ。とりあえず幻覚さえどうにかできれば、何とかなるんですけど」

「相手のやり方はわかっているんだろう? 要は最初から催眠術にかからなければ良いのではないか?」
「それも無理みたいなんですよね……」
「なるほど。何となく話はわかった。つまりお前は今、ゲームだか何だかで攻略法に悩んでいると、そういう訳だな」
「大体そういう訳ですね」

「そうか。で、」
燕は口元をにやりと歪める。
「欲望を具現化した幻、だったか。お前には何が見えたんだ?」
「え、え!? いや、その、それは……」
大介は急に斜め上を見上げ、押し黙る。燕は竹刀を手に取り、彼の喉元に突き付け
「言え」
「……ば……りん」
「何?」
「……バケツプリン」
「……なんだそれは」

「いや、だからアレですよ。ホームセンターとかで新品のポリバケツ買ってきて、それを型にして……」
「プリンを作る、と」
「そうです」
「馬鹿かお前は。そんな幼稚な願望だとは思わなかったぞ」
「はっきり言わないでください。あー、こんな話するんじゃなかった」
そして振り返って去ろうとする大介を、まあ待てと燕が引き留める。
「馬鹿と言った詫びに、私からアドバイスをやろう。必ず上手くいくとは限らないが、な」

再び例の郊外。今回はグリーンとブラックの二人で、あの機械を迎撃する。
「それで大介、秘策ありって言うのは本当なのか?」
通信機を通して、レッドがブラックに語りかける。
「上手くいくかはわかりませんが、試してみる価値はあります」
「わかった。催眠攻撃については、任せたぞ」
「はい」
「催眠を打ち破ったら、一気に機械の撃破だ。許可は下りてる。大筒、派手に暴れろ」
「了解」
通信を切ると、狙ったように機械が現れる。甲高い音が聞こえ、二人は幻の世界へと誘われた。

そして大介の目の前には、やっぱりバケツプリンがあった。
「さてと、じゃあやってみますか」
と、大介は大口を開けて、その特大プリンへとかぶりつき始めた。そしてあっと言う間に食べ終わると、
「他にはないのか~!」
と大声で叫ぶ。すると目の前には、次々と様々な甘味が現れる。様々なバリエーションがあり、一つとして同じ物は無かった。大介はそれらに飛びかかると、次々に口に放り込んでいく。

これが燕が授けた攻略法だった。
「幻覚を防げないなら、受け入れてしまえ。呑まれる前に、幻を呑み込んでしまえ。そして欲望に任せてもっともっとと望み続ければ、所詮は自分の妄想。いつかは自身の想像力の限界を超えて、あるいは……な」
大介はその言葉にかけた。
「おい、もっとだ! こんなんじゃまだまだ足りないぞー! こんなもんか、他には無いのか? おお、何だやれるじゃないか。だけどまだまだー!」
そして叫び、喰らいを繰り返し、もう何が何だかわからなくなってきた頃、大介の目の前には、もとの廃ビルだらけの風景が広がっていた。

「欲望はいつか身を滅ぼすって事なのか? まあいいや、次はハナビを」
「あぁ~ん、もっとぉ~!」

いきなり聞こえてきたピンク色な声に、大介はぎょっとする。
「次は、次は何をしてくれるんですかぁ~? 木馬とか、電気ショックとか、そんなのもう飽きちゃったんですぅ~! もっと、もっときっついおしおきしてぇ~! もっと虐めてぇ~! もっと、もっと、もっと……あれ?」
グリーンはキョトンとした様子で正気に返ると、ブラックの顔をじっと見つめ
「あっ、本物ね」
と、小さくつぶやいた。何か残念そうに。

……偽物のオレとやらは、いったいお前に何をしていたんだ?

今度は何やらいじけ始めたグリーンに対して、ブラックはそう言ってやりたかったが、それを聞いてしまった場合、今後彼女と円滑な人間関係を築いていく過程において、重大な障害になる気がしたので黙っておいた。
まあ、人の趣味はそれぞれ自由だよな、うん。

「えっと、ハナビ。とりあえずやっちゃおう」
「え!? あ、うん、そうね」
グリーンは何とか気を取り直し、キャノン砲を二門出現させると、両肩に装備し、さらに二門を両腰へと取り付ける。
ブラックは彼女の後ろへ廻ると、二丁のリボルバーを、両肩のキャノンの後ろに接続した。すると、キャノン砲は展開し、ミサイルを中心とした重火器が現れ、チャージ音が響く。

「究極乱射!」
「エンド・オブ・デイズ!」
「「ファイアー!!」」

ブラックが引き金を引くと同時に、全ての銃器が火を噴いた。

「ああ、やられちゃった」
過激結社「ナイトメア・ワンス・モア」通称NOMの首領、ドクトル・シャドウと名乗っている男はつぶやいた。
「安定性のある催眠機構、優秀なステルス機能、おまけに機械だから、負担を無視して短時間に連続した瞬間移動装置の使用が可能。けっこういけると思ったんだけど」
ぶつぶつと長い独り言を続けたシャドウは、
「ま、直接攻撃ができない事を考えれば、合格ラインかね」
と完結した。
「ジョシュくん」
「はいは~い、何です教授」
呼ばれて現れたのは、眼鏡をかけてだぼだぼの白衣を着た、いかにも何もないところで転びそうな雰囲気の女性である。
「すぐにこいつの量産体制に入って。同時に各国の軍部とか過激派組織に売り込みを。今後の課題は、転送装置を使った火器の安全な移送だね。あとシャドウビーストの新作もそろそろ着手したいから、準備よろしく」
「了解で~す」

ジョシュと呼ばれた女性は用件を聞くと、とてとてと走り出し……
「あわ、あわわわわわわわわわわあわわわわ!」
ずってん。
何もないところで転んだ。
シャドウは横目にそれを見てくすくすと笑うと、再び正面に向き直り、先ほどまで機械からの送られた映像を映していたモニターを見る。今は、砂嵐しか映ってはいない。
「しかし、催眠攻撃をこんなやり方で破るなんてねえ」
シャドウの笑いは、止まらない。
「自分で思いついたのか、それとも誰かの入れ知恵か……フフフ……」
まるで、おもちゃで遊ぶ子供のように。
シャドウは、楽しそうだった。
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